■男性保育カウンセラーにインタビュー

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子育てにおいて男性、女性といった性差は大きな問題ではなく、パパの方が得意なこともたくさんあります。子どもの生活面のお世話も遊びも難しく考え過ぎずに、もっと父親の育児を楽しみましょう。
⇒簡単にできるお父さんテスト
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子育てにおいて男性、女性といった性差は大きな問題ではなく、パパの方が得意なこともたくさんあります。子どもの生活面のお世話も遊びも難しく考え過ぎずに、もっと父親の育児を楽しみましょう。
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関西こども研究所 所長
保育カウンセラー
原坂 一郎氏
「育児」というとおむつ替えや寝かしつけなど、何か子どものお世話をすることのように思われがちで、それゆえ男性は最初からしり込みをしてしまう人が多いようです。でもそれらはあくまで「育児」の中の1つのジャンルにしか過ぎません。
赤ちゃんに語りかけたり、あやしたり、あるいはただ抱っこしたり絵本を読んでやったりすることも、すべて「育児」。わが子をかわいいと思い、その思いや愛情から行なう子どもへのかかわりはすべて「育児」なのです。わが子のかわいい寝顔を飽きずにいつまでも見ているだけでも立派な「育児」と言えます。それらは、その子どもに対して大きな愛情のある人(つまり親)しかできない行為だからです。
「育児」を難しく考えず、「愛するわが子にかかわっていくこと」程度に考え、無理なく自然に気軽にかかわっているだけで、もう十分育児をしていることになります。本当に「育児をしない男性」とは、赤ちゃんのお世話はもちろん、あやしたりちょっとしたかかわりさえ持とうとしない男性のことを指し、以前は随分多かったのですが最近はそういう男性はめっきり減っています。
赤ちゃんのお世話って、技術的に難しいものは何もありませんが、上手い下手は確かにあるかもしれません。でもたとえやり方は下手でも、やろうとする気持ち、それが大事なのです。パパの愛情は十分赤ちゃんに伝わっていますよ。赤ちゃんのお世話は最初から上手な人なんていません。慣れの問題が大きく、お母さん方も最初から上手だった人はいなかったはずで、誰もが不安の中で始めて、やっていくうちにだんだんうまくなっていくのです。やり続けているとどうすればやりやすいか、どうやれば赤ちゃんが喜ぶか、または嫌がるか、などが自然にわかってきます。そうなっていくと次第におもしろくなり、自信も出てきますよ。下手でもいいので、ぜひ今のままやり続けてください。必ず上手になっていきます。
子どもは育児をする人、つまり自分のお世話をしてくれる人や自分と楽しくかかわってくれる人に対しては絶対的な信頼を寄せるとともに、必ず大好きになるものです。子どもは自分が好きになった人、信頼を寄せる人の前では、それ以外の人たちとは比べ物にならないくらい笑顔を見せたり、笑ったりするものです。かわいらしいことしたり、うれしいことを言ったり、かわいく甘えたりするのも、そういう人に対してだけです。
育児をしないパパ、つまり子どもとあまりかかわらないパパには、そういうことを子どもはあまりしないものです。子どもとよくかかわったパパとそうでないパパとでは、子どもが1、2歳になったころから差になって表れ、たとえば自分に向ける笑顔の数だけでも、100倍は違うものです。(もっとかもしれません)
また育児に参加し、子どもをもつことの喜びや楽しさを感じるだけでなく、その大変さも体験することで、妻への理解とリスペクトが高まることもあります。また思い通りいかないことを経験することで、相手を思いやる心や理解する心が自分の中に出てきます。育児を経験した男性は、どこかで人間的に大きく成長しており、経験していない男性とは「ひと味違う男」になっているものです。
なるほど育児というものは大変なことがあるかもしれません。でも育児をする人には、そういったさまざまな形でその苦労は必ず報われているのです。
子育てで大切なことはいくつもありますが、以下はその中の一部です。
●子どもを、早く早くとせきたてず、待ってやることができる
●感情的にならず、穏やかに叱ることができる
●子どもを乗せたり担いだりなど体を使った遊びができる
●子どもが笑うようなおもしろいことや下品なことを言ったりしたりできる
●おおらかな見方ができ、子どもの小さな言動をいちいち気にしない
もちろん他にも大切なことがたくさんありますが、上記の5つは実は、母親がもっとも苦手な子どもへの対応です。しかしながら、子どもの成長にとってはとても大切なかかわり方を示す5つでもあるのです。全部できるという母親はおそらく皆無でしょう。しかし、これらを苦もなくできるのが父親です。でも父親は母親ならたやすくできるそれ以外の大切なこと、たとえば「赤ちゃんのお世話をずっと話しかけながらする」、「寝るときに子守唄を歌ってやる」などは苦手です。子育ての上では、かかわり方の特徴や得意分野が男女、つまり父親母親で全然違っているものです。でもそのどちらもが子どもには必要なのです。だからこそ、子どもにはお母さんとお父さんの両方のいいところが必要なのです。父親の特長、母親の特長の両方が相互に補完し合う形となり、それは子どもの成長にとっては大切なバランスになります。
どんなに父親ががんばっても、育児は母親にはかなわないところがあります。子どもにとって、まず必要なのは母親で、父親はその次、と感じざるを得ないような経験をしたことがあるお父さんはそのとき少々がっかりするようです。
確かに育児は母親中心というところがあるかもしれません。でも、だからと言って父親が必要ではない、何もしなくていい、ということでは決してないのです。仮に育児が母親中心で進んでいても、父親には父親の大切な役割があります。それは母親が決して担えない役割です。仮に育児の上ではサブ的な存在であったとしても、父親が父親としての役割を十分に果たすならば、子どもにとってはその存在感は母親と同じくらい大きなものとなり、子どももより健やかに育っていくのです。
また、優秀なサブ(父親)がいてこそ、リーダー(母親)は助かり、育児はより円滑に進みます。仕事でもなんでも、リーダーにとっては優秀なサブがいるのといないのとでは大違いです。